米焼酎『宮地岳』について
天草は青い海に囲まれた、大小120余の島々からなる諸島です。宮地岳町は天草の下島の中心部、山間の盆地に位置しています。特産品は「米」。
その米を使い、町の特産品を作りたくて焼酎製造に取り組みました。
タッグを組んだのは、熊本県球磨郡にある常楽酒造さん。原料と品質と製造方法にこだわり、大量生産ではなく伝統の製法を頑なに守り、 丁寧な焼酎造りをされます。
町民が手塩にかけた米をあつめる

宮地岳町は過疎化が進む農村です。
高齢化が進み、人口は減少の一途をたどっていますが、町の取り組みとして住民一丸となり「かかし」を作っています。
2008年、初めは6体のかかしを作りましたが、今は住民の数を越え、600体以上となりました。
大規模農業などはできない山間部の町。
このかかし達が見守る中、町民が手塩にかけて育てた米。
町民の皆さんに協力をしてもらい、少しずつ米を集めるところから始まりました。
常楽酒造で焼酎に変わる
集められた米を、美味しい焼酎になれと願いつつ、常楽酒造に届けます。
本格焼酎「宮地岳」は、自然豊かな熊本県天草市宮地岳産の良質なお米を全量使用し熊本県球磨郡の焼酎蔵元「常楽酒造」で製造した限定製造の商品です。
最大限にお米の香り甘みを引き出すため全麹仕込み、減圧蒸留で製造を行いました、全麹仕込みとは麹のみを主原料として仕込む製法で2次仕込の際に投入する主原料も麹となり麹を麹で仕込む贅沢な製法です。使用する麹は一般的に焼酎用として使用される白麹と清酒用で使用される黄麹を用いふくよかな香りとコクのある味わいの中に黄麹ならではのほのかな吟醸香をお楽しみいただける商品です。

1.洗米・浸漬
ドラム式自動製麹機に米を入れ、流水と送風で米に付いた糠をきれいに洗い流します。その後、水に漬ける浸漬を行いますが、日本酒製造のように限定給水は行わず、米に十分な量を給水させます。それによって、最終的な焼酎の甘味に繋がっていくのです。これらの工程に使われる水は全て、仕込み水同様、日本三大急流の一つ球磨川の伏流水(球磨・人吉の地下水)を使用しています。

3.蒸し、放冷、種かけ
しっかり給水させた米を高温の蒸気で蒸し上げます。蒸し上がった米を冷やし、麹菌を散布できる適温まで放冷します。ここから更に重要な、種かけ(麹菌の散布)です。蒸し上がった米に麹菌を散布します。その後、ドラムの回転により麹菌を米全体にまぶしていきます。ドラムを30分ほど回転させた後、静置して一晩麹菌を育成させます。これが米麹ができる第一段階です。

4.製麹(米麹の育成)
翌朝、一晩育成させた米麹を調風搭製麹棚へ移し広げ、更に育成させます。(棚盛り)。米麹は菌の増殖により熱を出すので適温になるよう送風で冷やし、また温度が上がると冷やすを機械制御によって24時間育成させます。翌日には、米の表面に麹菌の菌糸が伸び米麹の完成となります。

5.一次仕込み
出来上がった米麹を仕込み水・焼酎酵母と一緒に仕込みます。
一次醪(もろみ)は仕込んだ翌日からアルコール発酵が盛んになり温度が上昇するので、蔵人の手によって醪と対話し櫂棒(かいぼう)で混ぜ、冷却器で醪を適温に保つよう管理します。
ここではいかに酵母を増やせるかが重要です。それが焼酎の香り・味を左右します。約6日から7日間、醪を管理し次の工程二次仕込みへと移っていきます。

6.二次仕込み
一次醪に仕込み水と蒸した米を仕込むのが二次仕込みです。この工程により更なる発酵を促します。ここでも発酵により温度が上昇するので、冷却により発酵を抑制し、酵母の香りを損なわないよう蔵人が醪との対話と温度管理を行います。ここでは酵母が出すアルコールの程良くフルーティーで、甘い香りが蔵の中に漂い、蔵人の心を和ませてくれます。その後2週間ほど発酵・熟成させ二次醪の完成です。

7.蒸留
いよいよ最終工程の蒸留です。
蒸留には常圧蒸留と減圧蒸留があります。常圧蒸留は簡単に言うと、芳醇(こってり系)な焼酎になり、減圧蒸留はすっきりフルーティーな焼酎になります。
宮地岳は減圧蒸留で作られます。発酵・熟成させた二次醪を蒸留機に入れ、蒸気で加熱し揮発したアルコールが冷やされ出てくるのが焼酎です。
こうして焼酎が出来上がります。

8.貯蔵・瓶詰め
蒸留したての焼酎は油分を取り除くため濾過を行い、貯蔵します。
一定期間の貯蔵、熟成を経た焼酎は、製品の度数や味わいに合わせた割り水を行います。完成した焼酎は瓶に充填機で注ぎ入れ、キャップ締め、目視による異物混入チェックを行い製品のラベルが貼られて完成です。